ビットコインの始め方

投資に役立つ数字の読み方を知ろう

投資に役立つ数字の読み方を知ろう
中国でのサプライチェーンの課題とCOVID-19対策にもかかわらず、これらの優れた結果を齎らすことが出来ました」

【2022年版】半導体関連銘柄の決算書の読み方

AMDやインテルが作る半導体は勿論個人が使うパソコンにも搭載されているが、大きな収益源は、これまた最先端技術を競い合うクラウド・プロバイダーなどのデータセンターだ。その運営者はアマゾンドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)などだが、AIという用途については、そこにエヌビディア(NVDA)のGPUなどが覇権争いに加わってくる。そうした業界の流れは、個社の決算資料からだけでは中々読み取れない。ましてや財務諸表だけでは技術の流れなどは全く理解出来ない。

例えば下記は同じくAMDの同じ決算に関わるプレスリリースに掲載されている数値だ。見るべきはNon-GAAPの数値だが、正直なところ、

突然1期分や2期分の決算発表に関わる資料を読んだところで、そのひとつひとつの数字が出来上がった背景事由までを理解するのは難しい

だろう。見るべき資料は同時に公開されるプレゼンテーション資料の方だ。

曲者は「市場予想」という摩訶不思議な数値

ただ昨今、決算発表に絡む株価の動きで、まず最も曲者と思われるのは「市場予想」なる摩訶不思議な数値だ。常にこれがピタリと当たっているのならば良いのだが、毎回「勝った」「負けた」が繰り広げられる。つまりよく外れるということだ。そして地合いが悪い時にともなると、少々「負けた」だけで、「アフターマーケット」と呼ばれる時間外取引で大きく株価が叩き売られたりするようになった。企業価値の分析がそれで出来ているのかは甚だ疑問でもある。

ファンドマネージャーとしての運用経験から言わせて貰えば、決算発表のプレスリリースを聞いて即座に売り叩いたり、買い上げたりする投資判断は、通常の長期の投資家はしない。というよりも出来ない。決算の数値を確認し、CEOとCFOのプレゼンテーションを確認し、自らの予想数値などと付き合わせたり、投資判断の源となっている根源的な着眼点でのエラーが無いかなどを確認する時間が必要だ。

ならば、あの脊髄反射のような素早さで買いや売りを繰り出してくるのは誰かと言えば、恐らく「ヘッジファンド」などの「プログラミング売買」だろう。デイトレーダーの人達でもプログラム売買の手法は使われている。予め何某かの市場予想なる数値を入力しておいて、数値発表と同時に自動的に発注を出すシステム(プログラム)ぐらいは今や簡単に組めるのだ。そして少ない利幅でも取れれば即座に反対売買をするという寸法だ。

実はそうした取引スタイルがまん延しているからか、昨今のヘッジファンドは押しなべてパフォーマンスが悪い。悪いからこそ、更に窮余の一策として無理をするという悪循環に陥っているかに見える。ただ残念ながら、それが暫しの間、市場全体のモメンタムを生み出すことがあり、現下のように地合いの悪い時は、正に「嘘から出た真」のような事態が暫く続く。問題は、長期投資家、ファンダメンタル重視の投資家がその短期的な需給による状況悪化にどこまで耐えられるかだ。

マイクロンテクノロジー(MU)の四半期決算をどう受け止めるか

今最もホットな決算発表だったものと言えば、メモリー半導体の大手、マイクロンテクノロジー(MU)が2022年6月30日に発表した四半期決算だ。2022年7月4日号の「プレミアム・レポート」に掲載した内容から、一部抜粋をご紹介しよう。

「最強の収益力とフリーキャッシュフローと共に過去最高の四半期収益を実現しました。また自動車、産業、ネットワーク市場、およびデータセンターとクライアントの両方のSSDで収益記録を達成しました。NAND事業は過去最高の四半期収益を達成し、エンベデッドビジネスユニットとストレージビジネスユニットのNAND収益も過去最高を記録しました」

「当社の1アルファDRAMおよび176層NANDランプは、業界内で数四半期先行しています

中国でのサプライチェーンの課題とCOVID-19対策にもかかわらず、これらの優れた結果を齎らすことが出来ました」

半導体業界の動向見立て

「CY2022年における業界全体のビット需要の伸びに対する私たちの期待は、前回の決算発表時に比べるとやや緩和(moderate)しています。第3四半期(3-5月期)末近くには、主にPCやスマートフォンなどのコンシューマー市場における最終需要の弱さが原因で、短期的な業界ビット需要が大幅に減少しました。これらの市場は中国での個人消費の弱さロシア・ウクライナ戦争、そして世界中でのインフレの上昇の影響を受けています。中国でのCOVID-19対策は、一部の顧客にとってサプライチェーンの課題を悪化させ、マクロ経済環境も特定の顧客の間で注意を喚起しています。主にPCとスマートフォンのいくつかの顧客が在庫を調整しており、これらの調整は主に2022年の後半に行われると予想しています」

「モバイル、PC、および消費者市場の最終需要は弱まっていますが、クラウド、ネットワーキング、自動車、および産業市場は回復力を示しています。短期的な需要の弱さにもかかわらず、長期的な需要の傾向は依然として強く、長期的なDRAMおよびNANDビット需要のCAGRに対する私たちの見方は以前の予想から変わっていません。」

この一時的であろう消費者の需要低下をどう投資家として判断し、価格変動の中で次なる投資行動を起こすか

と言うことだ。また当然にして、このマイクロンテクノロジー(MU)の決算に絡む業界の横串をどのように刺すことが出来るかが、正に「半導体関連銘柄の決算書の読み方」の肝の部分となる。

3年間で変わったものを思い出し、この先を読む

がある。出来れば市場データなどを日々記録することなども、人間の頭脳というとてつもないAIにディープラーニングさせる最良の方法だと思われるのだが、それはバックデートで何があったかなど記憶を再生する時に大いに役立つものだ。時々、「過去データが必要な時は、ネットからダウンロードすれば良い」と嘯く御仁がいるが、それでは「どこかでこの数値は見たぞ」という閃きのきっかけは起こらない。

2019年と言えば、まだまだ新型コロナウイルスなど聞いたことも無い存在であり、米国大統領は共和党トランプ大統領だった時代。Huawei問題などで米国と中国が厳しく睨み合いを始めた頃だ。当時は、リモート・ワークという概念は未だなく、誰もがオフィスに通い「通勤なんて、痛勤だから、どこでもドアが欲しい」と思っていた時代だ。

それも今では相当に状況は変わった。昨今では「ハイブリッド・ワーカー・ネイティブ世代」或いは「リモート・ワーク・ネイティブ世代」と呼ばれる人たちまで誕生し、既に3年生になっている。テキストベースではなく、動画も使ったSNSでのコミュニケーションが日常の彼らにとって、「顔を会わせなければ仕事の良いアイデアは浮かばない」というのは、正に古典の世界だ。正にITリテラシーの違いなのだが、これが正に働き方改革だ。「ZOOMで、teamsで打合せしましょう」というのは日常の光景になった。

株式投資の大前提は「未来予測」。どんな投資家だって、終わった期の決算内容を見て「これは成長しそうな会社だ」とは判断しない。その

決算内容と、来期予想、ガイダンスが整合的であるかを判断して投資を行う。

仮にインテルが「今期から3nmの大量生産を始めます」と言って、それに基づくお絵描きのようなガイダンスを発表しても、誰もが「Pardon?」とぽっかりと大きな口を開けて聞き返すだろう。それはロードマップがジャンプするからだ。

ここで何を考えるべきかと言えば、この時代の変化のベクトルの向こうは、どう繋がっていくかを想像することだ。今の中高年でも、若い頃、携帯電話不要論を唱える当時の中高年を「時代について行っていない」と困惑したことは覚えているだろう。これからも次から次へと次世代が時代を変えていく。その流れについていけるか、オールドファッションに固執するかは投資家個々の判断であり、自己責任だろう。

半導体を作るにはたくさんの製造装置が必要だ

半導体製造の各過程を担う企業が言っている話が、整合的であるかどうかをチェックする

具体的には、半導体メーカー(インテル、AMD、エヌビディア、Samsung、クアルコムなど)の言っている話と、半導体製造装置メーカー(アプライドマテリアルズ、ASML、東京エレクトロン、スクリーンなどなど)が言っている話が整合的であるか。最近はTSMCなどのファンダリー(製造請負)の話も突き合わせる必要がある。さらに言えば、ウェハーは信越化学とSUMCOで世界の大勢を握っているので、それらも大事だ。余裕があるならば、フォトレジストなどの材料企業も見ると良い。

なぜ、AMDやエヌビディアが抜きん出た存在になれたかというと、その一つの理由が彼らが半導体製造工場を持たないIP企業であり、その製造請負をファンダリーの雄、TSMCが行っているからだ。元々は製造プロセスに付加価値は無いと言われて、製造工程が分離された歴史があるが、今やTSMCが居なければ最先端微細加工の半導体は量産出来ない。Samsungでさえ、漸く3nmで量産出来ると言ったが、まだ信頼されていない。ならば何故、TSMCが最先端製造を出来るかと言えば、これがまた超最先端の露光装置であるオランダASML社が作るEUV露光装置をTSMCが使えるからだ。以前は日本のニコンやキャノンも露光装置では頑張っていたが、EUVがトレンドになった段階で脱落した。実はインテルとニコンの連合が強かったという思い出話もあるが、だからインテルも時代に遅れてしまった。

こうした製造装置メーカーの開発動向、そして受注動向や受注残などから、実質的な需要動向を見極めることが出来る。

であり、個社の財務諸表を見るだけでは恐らく何の分析にもならない。BS/PLなど財務諸表を読み解くことは重要だが、それに精通するまでには幾ばくかの苦労が必要だ。それよりも、決算資料として提示されるプレゼンテーション・マテリアルを読み、業界の複数社の動向から裏を取り、それが大きなビジネストレンドや技術ロードマップと整合的なものであるかを読み取ることが近道だ。

仮に短期的にエンドマーケットで多少の需要変動があったとしても、逆に技術ロードマップから遅れることは、巨人インテルでさえ苦労している現状への迷い道となる。だからこそ、大きな流れを読み解くことが半導体関連銘柄の決算書を読み解く上では重要だ。

その意味では、エヌビディアのJansen CEOも、ソフトバンクグループの孫会長も口を合わせるように、AIを核にした大きな時代の流れはまだまだ始まったばかりであり、そのポテンシャルは計り知れない。そして現在は「クルマが走るデータセンタ化していく」(アプライドマテリアルズのゲイリー・E・ディッカーソンCEO)という新しい流れも加わっていることも大きなこれからの投資の為のヒントとなるだろう。

編集部後記

  1. part1:半導体関連銘柄の決算書の読み方(前編:半導体産業の全体像、半導体の製造プロセスを整理)
  2. part2:半導体関連銘柄の決算書の読み方(後編:決算資料の見方)
  3. part3:半導体関連銘柄の決算関係資料を読む(川上及び前工程編)

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お問い合わせ

今回の記事に関するご質問、知りたいこと、記事のご要望などがございましたら、お気軽にメール([email protected])や各種SNS(Twitter、Facebook、Instagram)からご連絡ください。お問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

【2022年版】半導体関連銘柄の決算書の読み方

AMDやインテルが作る半導体は勿論個人が使うパソコンにも搭載されているが、大きな収益源は、これまた最先端技術を競い合うクラウド・プロバイダーなどのデータセンターだ。その運営者はアマゾンドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)などだが、AIという用途については、そこにエヌビディア(NVDA)のGPUなどが覇権争いに加わってくる。そうした業界の流れは、個社の決算資料からだけでは中々読み取れない。ましてや財務諸表だけでは技術の流れなどは全く理解出来ない。

例えば下記は同じくAMDの同じ決算に関わるプレスリリースに掲載されている数値だ。見るべきはNon-GAAPの数値だが、正直なところ、

突然1期分や2期分の決算発表に関わる資料を読んだところで、そのひとつひとつの数字が出来上がった背景事由までを理解するのは難しい

だろう。見るべき資料は同時に公開されるプレゼンテーション資料の方だ。

曲者は「市場予想」という摩訶不思議な数値

ただ昨今、決算発表に絡む株価の動きで、まず最も曲者と思われるのは「市場予想」なる摩訶不思議な数値だ。常にこれがピタリと当たっているのならば良いのだが、毎回「勝った」「負けた」が繰り広げられる。つまりよく外れるということだ。そして地合いが悪い時にともなると、少々「負けた」だけで、「アフターマーケット」と呼ばれる時間外取引で大きく株価が叩き売られたりするようになった。企業価値の分析がそれで出来ているのかは甚だ疑問でもある。

ファンドマネージャーとしての運用経験から言わせて貰えば、決算発表のプレスリリースを聞いて即座に売り叩いたり、買い上げたりする投資判断は、通常の長期の投資家はしない。というよりも出来ない。決算の数値を確認し、CEOとCFOのプレゼンテーションを確認し、自らの予想数値などと付き合わせたり、投資判断の源となっている根源的な着眼点でのエラーが無いかなどを確認する時間が必要だ。

ならば、あの脊髄反射のような素早さで買いや売りを繰り出してくるのは誰かと言えば、恐らく「ヘッジファンド」などの「プログラミング売買」だろう。デイトレーダーの人達でもプログラム売買の手法は使われている。予め何某かの市場予想なる数値を入力しておいて、数値発表と同時に自動的に発注を出すシステム(プログラム)ぐらいは今や簡単に組めるのだ。そして少ない利幅でも取れれば即座に反対売買をするという寸法だ。

実はそうした取引スタイルがまん延しているからか、昨今のヘッジファンドは押しなべてパフォーマンスが悪い。悪いからこそ、更に窮余の一策として無理をするという悪循環に陥っているかに見える。ただ残念ながら、それが暫しの間、市場全体のモメンタムを生み出すことがあり、現下のように地合いの悪い時は、正に「嘘から出た真」のような事態が暫く続く。問題は、長期投資家、ファンダメンタル重視の投資家がその短期的な需給による状況悪化にどこまで耐えられるかだ。

マイクロンテクノロジー(MU)の四半期決算をどう受け止めるか

今最もホットな決算発表だったものと言えば、メモリー半導体の大手、マイクロンテクノロジー(MU)が2022年6月30日に発表した四半期決算だ。2022年7月4日号の「プレミアム・レポート」に掲載した内容から、一部抜粋をご紹介しよう。

「最強の収益力とフリーキャッシュフローと共に過去最高の四半期収益を実現しました。また自動車、産業、ネットワーク市場、およびデータセンターとクライアントの両方のSSDで収益記録を達成しました。NAND事業は過去最高の四半期収益を達成し、エンベデッドビジネスユニットとストレージビジネスユニットのNAND収益も過去最高を記録しました」

「当社の1アルファDRAMおよび176層NANDランプは、業界内で数四半期先行しています

中国でのサプライチェーンの課題とCOVID-19対策にもかかわらず、これらの優れた結果を齎らすことが出来ました」

半導体業界の動向見立て

「CY2022年における業界全体のビット需要の伸びに対する私たちの期待は、前回の決算発表時に比べるとやや緩和(moderate)しています。第3四半期(3-5月期)末近くには、主にPCやスマートフォンなどのコンシューマー市場における最終需要の弱さが原因で、短期的な業界ビット需要が大幅に減少しました。これらの市場は中国での個人消費の弱さロシア・ウクライナ戦争、そして世界中でのインフレの上昇の影響を受けています。中国でのCOVID-19対策は、一部の顧客にとってサプライチェーンの課題を悪化させ、マクロ経済環境も特定の顧客の間で注意を喚起しています。主にPCとスマートフォンのいくつかの顧客が在庫を調整しており、これらの調整は主に2022年の後半に行われると予想しています」

「モバイル、PC、および消費者市場の最終需要は弱まっていますが、クラウド、ネットワーキング、自動車、および産業市場は回復力を示しています。短期的な需要の弱さにもかかわらず、長期的な需要の傾向は依然として強く、長期的なDRAMおよびNANDビット需要のCAGRに対する私たちの見方は以前の予想から変わっていません。」

この一時的であろう消費者の需要低下をどう投資家として判断し、価格変動の中で次なる投資行動を起こすか

と言うことだ。また当然にして、このマイクロンテクノロジー(MU)の決算に絡む業界の横串をどのように刺すことが出来るかが、正に「半導体関連銘柄の決算書の読み方」の肝の部分となる。

3年間で変わったものを思い出し、この先を読む

がある。出来れば市場データなどを日々記録することなども、人間の頭脳というとてつもないAIにディープラーニングさせる最良の方法だと思われるのだが、それはバックデートで何があったかなど記憶を再生する時に大いに役立つものだ。時々、「過去データが必要な時は、ネットからダウンロードすれば良い」と嘯く御仁がいるが、それでは「どこかでこの数値は見たぞ」という閃きのきっかけは起こらない。

2019年と言えば、まだまだ新型コロナウイルスなど聞いたことも無い存在であり、米国大統領は共和党トランプ大統領だった時代。Huawei問題などで米国と中国が厳しく睨み合いを始めた頃だ。当時は、リモート・ワークという概念は未だなく、誰もがオフィスに通い「通勤なんて、痛勤だから、どこでもドアが欲しい」と思っていた時代だ。

それも今では相当に状況は変わった。昨今では「ハイブリッド・ワーカー・ネイティブ世代」或いは「リモート・ワーク・ネイティブ世代」と呼ばれる人たちまで誕生し、既に3年生になっている。テキストベースではなく、動画も使ったSNSでのコミュニケーションが日常の彼らにとって、「顔を会わせなければ仕事の良いアイデアは浮かばない」というのは、正に古典の世界だ。正にITリテラシーの違いなのだが、これが正に働き方改革だ。「ZOOMで、teamsで打合せしましょう」というのは日常の光景になった。

株式投資の大前提は「未来予測」。どんな投資家だって、終わった期の決算内容を見て「これは成長しそうな会社だ」とは判断しない。その

決算内容と、来期予想、ガイダンスが整合的であるかを判断して投資を行う。

仮にインテルが「今期から3nmの大量生産を始めます」と言って、それに基づくお絵描きのようなガイダンスを発表しても、誰もが「Pardon?」とぽっかりと大きな口を開けて聞き返すだろう。それはロードマップがジャンプするからだ。

ここで何を考えるべきかと言えば、この時代の変化のベクトルの向こうは、どう繋がっていくかを想像することだ。今の中高年でも、若い頃、携帯電話不要論を唱える当時の中高年を「時代について行っていない」と困惑したことは覚えているだろう。これからも次から次へと次世代が時代を変えていく。その流れについていけるか、オールドファッションに固執するかは投資家個々の判断であり、自己責任だろう。

半導体を作るにはたくさんの製造装置が必要だ

半導体製造の各過程を担う企業が言っている話が、整合的であるかどうかをチェックする

具体的には、半導体メーカー(インテル、AMD、エヌビディア、Samsung、クアルコムなど)の言っている話と、半導体製造装置メーカー(アプライドマテリアルズ、ASML、東京エレクトロン、スクリーンなどなど)が言っている話が整合的であるか。最近はTSMCなどのファンダリー(製造請負)の話も突き合わせる必要がある。さらに言えば、ウェハーは信越化学とSUMCOで世界の大勢を握っているので、それらも大事だ。余裕があるならば、フォトレジストなどの材料企業も見ると良い。

なぜ、AMDやエヌビディアが抜きん出た存在になれたかというと、その一つの理由が彼らが半導体製造工場を持たないIP企業であり、その製造請負をファンダリーの雄、TSMCが行っているからだ。元々は製造プロセスに付加価値は無いと言われて、製造工程が分離された歴史があるが、今やTSMCが居なければ最先端微細加工の半導体は量産出来ない。Samsungでさえ、漸く3nmで量産出来ると言ったが、まだ信頼されていない。ならば何故、TSMCが最先端製造を出来るかと言えば、これがまた超最先端の露光装置であるオランダASML社が作るEUV露光装置をTSMCが使えるからだ。以前は日本のニコンやキャノンも露光装置では頑張っていたが、EUVがトレンドになった段階で脱落した。実はインテルとニコンの連合が強かったという思い出話もあるが、だからインテルも時代に遅れてしまった。

こうした製造装置メーカーの開発動向、そして受注動向や受注残などから、実質的な需要動向を見極めることが出来る。

であり、個社の財務諸表を見るだけでは恐らく何の分析にもならない。BS/PLなど財務諸表を読み解くことは重要だが、それに精通するまでには幾ばくかの苦労が必要だ。それよりも、決算資料として提示されるプレゼンテーション・マテリアルを読み、業界の複数社の動向から裏を取り、それが大きなビジネストレンドや技術ロードマップと整合的なものであるかを読み取ることが近道だ。

仮に短期的にエンドマーケットで多少の需要変動があったとしても、逆に技術ロードマップから遅れることは、巨人インテルでさえ苦労している現状への迷い道となる。だからこそ、大きな流れを読み解くことが半導体関連銘柄の決算書を読み解く上では重要だ。

その意味では、エヌビディアのJansen CEOも、ソフトバンクグループの孫会長も口を合わせるように、AIを核にした大きな時代の流れはまだまだ始まったばかりであり、そのポテンシャルは計り知れない。そして現在は「クルマが走るデータセンタ化していく」(アプライドマテリアルズのゲイリー・E・ディッカーソンCEO)という新しい流れも加わっていることも大きなこれからの投資の為のヒントとなるだろう。

編集部後記

  1. part1:半導体関連銘柄の決算書の読み方(前編:半導体産業の全体像、半導体の製造プロセスを整理)
  2. part2:半導体関連銘柄の決算書の読み方(後編:決算資料の見方)
  3. part3:半導体関連銘柄の決算関係資料を読む(川上及び前工程編)

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これは投資家と銘柄との相性もあるからです。「お宝銘柄レポート」とは違うことは予めお断りしておきます。お伝えするのは注目のビジネス・トレンドとその動向がメインで、それをどうやってフォローしているかなどを毎週お伝えしています。ある意味、投資のための「コーチング」、気づきをお伝えしているとも言えるでしょう。

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10Kはいくら?100Kや1000Kはいくら? お金の単位のKやMの意味や読み方【10Kや10M】

科学

ここでは、これら お金の単位のKやmの意味や読み方 について解説していきます。

10Kはいくら?100Kや1000Kもいくら?【お金の単位のkの意味と読み方】

・1K=1000円
・10K=1万円(10000円)
・100K=10万円(100000円)
・1000K=100万円(1000000円)

1mはいくら?10mや10kとは?【お金の単位のm円とは?】

・1M=1000000円(100万円)
・10M=10000000円(1000万円)
・100M=100000000円(1億円)

まとめ 10Kはいくら?100Kや1000Kはいくら? お金の単位のKやMの意味や読み方【10Kや10M】

・1K=1000円 投資に役立つ数字の読み方を知ろう
・10K=1万円(10000円)
・100K=10万円(100000円) 投資に役立つ数字の読み方を知ろう
・1000K=100万円(1000000円)

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・10M=10000000円(1000万円)
・100M=100000000円(1億円)

20海里は何キロ(何km)か?20海里は何メートル(何m)か?【距離】

科学的な解析をする際によく単位変換(換算)が必要となることがあります。 例えば、長さや高さの単位として海里(読み方:かいり)やメートル(m)が使用することがありますが、これらの変換(換算)方法について理解していますか。 ここでは.

前年比と前週比の計算方法

売り上げや利益などの管理を行う際に、よく前年比や前週比といった指標を元に議論することが多いです。 そのため、これら前年比や前週比の正しい求め方の知識が必要となるわけですが、これらの具体的な計算方法について理解していますか。 ここ.

kN(キロニュートン)とt(トン:ton)の換算(変換)方法は?tfとの計算方法は?

2kmは何メートルか?3kmは何メートルか?4キロメートルや5キロメートルは何メートル(5kmは何m)か?【kmをmに直す】

私達が生活している場面でよく単位換算が求められることがあります。 例えば、長さの単位としてkm(キロメートル)とm(メートル)を使用することが多いですが、これらの単位換算方法について理解していますか。 ここでは、kmをmに直す(.

1ccは何グラム(1ccは何g)?【砂糖や牛乳や水や油のccとgの変換方法(シーシーとグラム)】

濃度のわからない食塩水を蒸発させる問題の解き方【計算方法】

数学、算数、SPIなどの試験において、様々な計算が求められることがあります。 例えば、食塩水の濃度計算について求められることが多いく、中でも濃度のわからない食塩水を蒸発させる際の量や濃度を計算する問題は頻出です。 ここでは、この.

固定費と変動費の分け方2選!固変分解を勘定科目とエクセルで実践しよう!

固定費と変動費の分け方2選!固変分解を勘定科目とエクセルで実践しよう!のサムネイル画像


2つ目の固変分解法はエクセルで最小二乗法を用いる方法です。

  • 勘定科目法を理解していて、パソコンを使って楽に固変分解したい
  • ざっくりでいいので固変分解をして、営業利益を計算したい

手順①過去1年分の売上高と総原価のデータをエクセルに打ち込む

手順②エクセルでグラフを作成し固定費と変動費を計算する

注意点:固定費と変動費の具体的な項目は分からない

固変分解で固定費と変動費を分ける際の注意点を解説!


ここまでの解説で、固定費と変動費を分割する方法は理解していただけたと思います。

  • 固定費と変動費は完璧には分割できない
  • 固定費の見直しも必要になる場合がある

①固定費と変動費を正確に分けることはほぼ不可能

②売上高が大きく変化すれば固定費を見直す必要がある

固変分解をした後に求めるべき分析指標2選!


では、ここまで固変分解について解説してきました。

  • 損益分岐点売上高を算出する
  • 限界利益を算出する

①損益分岐点売上高を計算して会社の経営に役立てよう

  1. 売上高-変動費=限界利益
  2. 限界利益÷売上高=限界利益率
  3. 固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高

②限界利益を計算して固定費との関係を知ろう

利益を伸ばすには固定費と変動費率を下げよう!


それでは最後に、具体的な数字を出して、利益を伸ばしていく方法について解説していきましょう。

マーケティングオートメーション(MA)の導入に迷ったら? 本を参考にするのがおすすめ


ここからは、マーケティングオートメーション(MA)の本をご紹介していきます。

1.「マンガでわかるWebマーケティング 改訂版 Webマーケッター瞳の挑戦!」

▼著者名
本文・マンガ原案・全体監修/村上佳代 著
マンガ作画/ソウ
作画・シナリオ/星井博文 著
▼発行元
インプレス
▼発売日
2017年2月17日

▼目次
序章 Webマーケティング?デジタルマーケティング?
第1章 PVだけでいいんですか?
第2章 そのPVが無駄なんです
第3章 お客様の顔に書いてあるんです
第4章 何でわかってもらえないんだろう?
第5章 トラブル発生?マジで嫌な予感
第6章 マーケッター失格!
第7章 転んでもただじゃ起きないわよ
第8章 最後の切り札
第9章 あなたに会いたくて

2.「マーケティングオートメーション 最強の導入手法」

▼目次
第1章 「マーケティングオートメーション×CRM」で理想的なマーケティングを実現する
第2章 「マーケティングオートメーション×CRM」を使って何をするのか
第3章 「失敗しないマーケティングオートメーション×CRM」の操作方法
第4章 成果につながる運用アイデア(ノウハウ)
第5章 成果につながる活用事例

3.「できる100の新法則 実践マーケティングオートメーション 会わずに売れるリード育成法」

▼著者名
永井 俊輔 著/できるシリーズ編集部 著

▼目次
序章 マーケティングオートメーションの基礎知識
第1章 MAツールの導入と設定
第2章 リードの獲得と管理
第3章 リードの育成と選別
第4章 スコアリングとシナリオ設計
第5章 成果につながる運用アイデア
第6章 MAを起点とした業務プロセス改善

4.投資に役立つ数字の読み方を知ろう 「MA / マーケティングオートメーション: 5分でできるMA導入と成功する8つのプロセス」

【実践編】マーケティングオートメーション(MA)の導入・運用に役立つおすすめの本2選

1.「マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方」

▼目次
はじめに
第1章 マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーとは
第2章 カスタマージャーニーの作り方①全体設計
第3章 カスタマージャーニーの作り方②施策設計
第4章 カスタマージャーニーの作成事例
おわりに

2.「「数字指向」のマーケティング データに踊らされないための数字の読み方・使い方」

▼目次
序章 マーケティングに必要な「数字力」
第1章 マーケティングプロセスと主な指標
第2章 収益プランを考える
第3章 指標を正しく測定するために
第4章 数字指向でマーケティング施策を計画する
第5章 適切な効果測定と分析方法
第6章 マーケティングを改善する
第7章 まとめ:今日から始める数字指向のマーケティング

【BtoB企業におすすめ】マーケティングオートメーション(MA)の本4選

1.「BtoBのためのマーケティングオートメーション 投資に役立つ数字の読み方を知ろう 正しい選び方・使い方 日本企業のマーケティングと営業を考える」

▼目次
第1章 マーケティングオートメーション その歴史と役割
第2章 デマンドジェネレーションの4つのプロセス
第3章 マーケティングオートメーション導入で実現する新しい世界
第4章 導入に失敗しないために
第5章 主要ツールベンダー7社に聞く、自社製品の特徴
第6章 導入企業の事例に学ぶ
第7章 座談会「営業が本当にほしいリードとは」
おわりに

2.「実戦BtoBマーケティング お客様に頼られる存在になるための戦略実行」

▼目次
序章 なぜお客様に「選ばれない」のか?
第1章 お客様の嬉しさを考えよう! ~ベネフィット~
第2章 お客様を知ろう! ~セグメンテーションとターゲティング~
第3章 お客様のお客様を知ろう! 投資に役立つ数字の読み方を知ろう ~BtoBtoC~
第4章 戦場・競合を把握しよう! ~競合は自社以外の選択肢~
第5章 お客様に選ばれる理由を作ろう! ~BtoBの差別化戦略~
第6章 強みをお客様に伝えよう! ~強みを伝えるメッセージ~
第7章 BtoBの実践営業 ~戦略を実行する手法~
第8章 「選ばれる」存在から「頼られる」存在になろう! ~戦略BASiCS~

3.「事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践」

▼目次
第1章 なぜ、BtoBマーケティングが重要になっているのか
第2章 BtoBマーケティングの特徴
第3章 マーケティング投資の前にLTVを強化する
第4章 よい商談を生むためによい階段を設計する
第5章 BtoBマーケティングプロジェクトの進め方
第6章 ケーススタディ1 リード数が足りない
第7章 ケーススタディ2 リード数が200件で頭打ちに
第8章 ケーススタディ3 MAツールを導入したが、活用できていない
第9章 ケーススタディ4 リード数や商談数は増えているが、受注につながらない
第10章 ケーススタディ5 新しいサービスなので積極的に探している人がいない
第11章 ケーススタディ6 顧客がWebを使って情報収集していない
第12章 ケーススタディ7 競合の参入でCPAが高騰し、受注率も低下
第13章 ケーススタディ8 営業主体の会社なので、マーケの文化がない
第14章 ケーススタディ9 コンテンツマーケティングに投資したいが、どこから手をつければいいかわからない
第15章 ケーススタディ10 競合がたくさん存在する成熟業界で成長する
第16章 ケーススタディ11 モノはよいが、知られていない

4.「THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」

▼目次
第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル
第2部 分業から共業へ
第3部 プロセス
第4部 3つの基本戦略
第5部 人材・組織・リーダーシップ
おわりに

【BtoC企業におすすめ】マーケティングオートメーション(MA)の本

1.「BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門」
▼著者名
岡本 泰治

▼目次
第1章 One-to-Oneマーケティングを実現するCCCM
第2章 CCCMとアドテクノロジーの連係は何をもたらすのか
第3章 One-to-Oneコミュニケーションチャネルを理解する
第4章 実践CCCM ~選定の注意点~
第5章 実践CCCM ~運用~
第6章 日本におけるCCCMベンダーの分類と解説
第7章 大手ITベンダーインタビュー

【BtoBとBtoCの両方におすすめ】マーケティングオートメーション(MA)の本2選

1.「マーケティングオートメーション導入の教科書 優良顧客を自動で育てる仕組みづくり」

▼著者名
長谷川 健人 著/住岡 洋光 著/駒井 俊一 著/岡本 貴司 著/安西 敬介 著/遠藤 義浩 著/森 靖 企画

▼目次
第1章 マーケティングオートメーションとは
第2章 マーケティングの基本を知る
第3章 マーケティングオートメーションの基本機能を知る
第4章 BtoBビジネスでの導入と運用の流れ
第5章 BtoCビジネスでの導入と運用の流れ
第6章 マーケティングオートメーションの導入事例

2.「戦略から始めるエンゲージメントマーケティング」

▼目次
第1章 ターゲット戦略
第2章 時代が変わっても不変の競争戦略
第3章 エンゲージメントマーケティングならではの競争戦略
第4章 行程戦略全体とリードジェネレーション
第5章 リードナーチャリング&クロージング
第6章 CRM
第7章 ワークショップによる戦略シート作成

【専門知識を得るのにおすすめ】マーケティングオートメーション(MA)の本

1.「マーケティングオートメーション スペシャリストになるための教科書」

▼著者名
株式会社メンバーズ、 福島 信、 鶴田 純也、 村上 大典、 廣瀬 竜也、 吉田 投資に役立つ数字の読み方を知ろう
▼発行元
マイナビ出版
▼発売日
2020年8月13日

▼目次
Chapter1 MA市場とMAを支える人材の必要性
Chapter2 MAスペシャリストの定義と業務領域
Chapter3 MAスペシャリストの主要業務
Chapter4 シナリオプランニング
Chapter5 MA施策の効果測定
Chapter6 MAツール導入

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