LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応について
ロンドン銀行間取引金利(London Interbank Offered Rate, 以下、「LIBOR」という)について、米ドルの一部テナー(期間)を除き、パネル行が呈示するレートを一定の算出方法に基づき算出するLIBORについては、2021年12月末をもって公表が停止されました(注)。また、米ドルについては、2021年12月末に公表が停止されたテナー以外のテナーも、2023年6月末をもって公表を停止する旨がLIBOR運営機関である ICE Benchmark Administration より公表されています。
日本円金利指標に関する検討委員会による「本邦におけるタフレガシーへの対応」に関する市中協議取りまとめ報告書を踏まえた今後の対応について
LIBORの公表停止時期の公表及びシンセティック円LIBOR構築に関連する意図表明を受けての今後の対応について
LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、2021年3月5日、米ドルの一部テナーを除き、現行のパネル行が呈示するレートを一定の算出方法に基づき算出するLIBOR(以下、「パネルLIBOR」)については、2021年12月末をもって公表停止する旨発表しました。また、同日、FCA(英国金融行為規制機構)は、日本円LIBORの一部のテナーについては、2022年1月以降の1年間に限り、市場データを用いて算出する擬似的なLIBOR(以下、「シンセティックLIBOR」)を構築するための権限を行使することについて市中協議を行う意図を表明しました。
上記を踏まえ、本邦における今後のパネルLIBORからの移行対応及びシンセティック円LIBORに対する金融庁及び日本銀行の考えについて、各業界団体を通じて金融機関に周知しました。
LIBOR公表停止に向けた対応状況の確認等を目的とした代表者宛通知(いわゆる「Dear CEOレター」)の発出
金融庁は、日本銀行と合同で、主要な金融機関の経営トップに対して、LIBOR公表停止に向けた対応の促進および対応状況の確認を目的として、いわゆる「Dear CEO レター」(以下、「本レター」)を発出しました。 複数のテクニカル指標が示唆していた相場の調整局面
本レターは、一部の金融機関に対して発出したものではありますが、受け取っていない金融機関に対しても、本レターの内容を踏まえながら対応状況を確認してまいります。
いずれにしましても、LIBORを利用している金融機関においては、経営陣による主体的かつ積極的な関与の下、本レターの内容も参考にしつつ、LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応をより一層進めていくことを期待しています。
金利指標改革(LIBORの恒久的な公表停止)に伴い参照金利の変更等を行ったレガシー契約に係る店頭デリバティブ取引規制の経過措置の適用等に関するQ&A
LIBORの公表停止を踏まえた自己資本比率規制及びTLAC規制に関するQ&Aの一部改正(追加)
LIBOR利用状況調査(金融庁・日本銀行の合同調査)
円LIBOR利用状況簡易調査(金融庁・日本銀行の合同調査)
金融庁は、日本銀行と合同で、円LIBOR利用状況簡易調査を実施いたしました。
本調査は、2021年9月末時点において円LIBORを参照している金融商品・取引等の件数及び移行の進捗状況を迅速に把握するため、従来のLIBOR利用状況調査よりも対象となる金融機関・調査項目を絞りこんで実施した簡易調査です。
本調査を通じて、各金融機関における円滑な移行に向けた対応がさらに促進されることを期待しています。
今週のeワラント特選銘柄
eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)、暗号資産先物(リンク債)、暗号資産先物インデックスリンク債の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、 一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。 また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。 ニアピン(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。 また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。 同一満期日を持つ全ての種類のニアピンを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。 トラッカー(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)、暗号資産先物(リンク債)、暗号資産先物インデックスリンク債の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。 このため、投資元本の保証がなく、損失が生じるおそれがあります。トラッカーの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。 また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーの価格も影響を受けます。 なお、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
商号等/カイカ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本暗号資産取引業協会
取引委託手数料は無料(0円)です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーの購入価格には年率で計算された管理コストが予め含まれています。また、暗号資産先物インデックス(リンク債)を対象とするトラッカーでは、原資産価格に管理コストが織り込まれていきます、これは保有期間に応じて投資家が負担する間接的なコストとなります。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
【免責事項】1.「日経平均株価」は、株式会社日本経済新聞社によって独自に開発された手法によって、算出される著作物であり、株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」自体及び「日経平均株価」を算定する手法に対して、著作権その他一切の知的財産権を有している。2.「日経」及び「日経平均株価」を示す標章に関する商標権その他の知的財産権は、全て株式会社日本経済新聞社に帰属している。3.「本件カバードワラント」は、乙の責任のもとで運用されるものであり、株式会社日本経済新聞社は、その運用及び「本件カバードワラント」の取引に関して、一切の責任を負わない。4.株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」を継続的に公表する義務を負うものではなく、公表の誤謬、遅延又は中断に関して、責任を負わない。5.株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」の構成銘柄、計算方法、その他「日経平均株価」の内容を変える権利及び公表を停止する権利を有している。
©2021- CAICA Securities Inc.
パワポのセクションの使い方とは スライド管理の上級テク
まずはスライドを複数のセクション、すなわちグループに分ける。ここでは全9枚のスライドを「タイトル」「概要」「検査内容」「受診の流れ」の4つのセクションに分ける。具体的には、左側の一覧で上から1、2、5、8番目のスライドを、それぞれのセクションの先頭に指定する。左側でスライドを選択して「セクションの追加」を選び、セクション名を入力すればよい。1番目と2番目のスライドでの操作は図3〜図6の通り。5、8番目の操作も同様だ。
図7のように「タイトル」「概要」「検査内容」「受診の流れ」の4つのセクションが完成したら、表示方法を「スライド一覧」に変えて全体を見渡そう(図8)。スライドのサムネイルがセクションごとに横並びになる。必要なら、サムネイルの大きさを右下のスライダーで調整しよう。
セクションを折り畳んで階層を丸ごと移動できる
表示を「標準」に戻して、「セクション」から「すべて折りたたみ」を選ぶと、左側のスライド一覧がセクション名だけの表示に変わる(図9)。かっこ内は当該セクションに含まれるスライドの枚数だ。この状態で、必要なセクションを展開したり折り畳んだりしながら、セクション単位で全体構成を推敲(すいこう)できる仕組みだ。
セクション名を上下にドラッグすると、中身のスライドを丸ごと移動できる(図10)。何枚ものスライドを1つずつ移動する手間が省けて時間の節約になる。今回は実験なので、移動したセクションは元に戻しておく。
マスターはいわば設計図、直すと全スライドに即反映
図11の操作でマスター画面を開くと、左側にマスターの一覧が並ぶので、上から3番目の「タイトルとコンテンツ」を選ぶ(図12)。必ず、基にしたマスターを選ぶのがポイントだ。例えば「新しいスライド」のメニューで「タイトルのみ」を選んでスライドを追加したなら、マスターの修正でも「タイトルのみ」を選ぶ必要がある。
修正の操作自体は簡単。例えばタイトルの文字色なら、「マスタータイトルの書式設定」の外枠をクリックして、「フォントの色」のメニューで緑色に変更すればよい。マスター画面を閉じると、「タイトルとコンテンツ」のマスターで作った2枚目以降のタイトル文字がすべて緑色に変わる(図13、図14)。1枚ずつ修正するのと違って修正漏れを防げるので、スライドの枚数が多いときには非常に助かる。
プレゼンの冒頭に目次、「ズーム」機能で自動作成
今回の9枚のスライドには、全社員向けと新入社員向けの内容が混在しているので、最初に全社員向けの目次を作ってみる。目次スライドは表紙の次に置きたいので、1番目のスライドを選択してから「ズーム」ボタンをクリックする(図15)。
「ズーム」のメニューには「サマリーズーム」「セクションズーム」「スライドズーム」の3種類があるが、目次を作るときはサマリーズームが便利だ。その設定画面には全スライドが表示されるので、目次に含めたいスライドをチェックする(図16)。
ここでは2、5、8番目を選択したので、自動挿入された2枚目の新しいスライドに3つのサムネイルが並ぶ(図17)。この目次スライドは「サマリーセクション」という名前の新しいセクションになる。目次スライドのタイトルを変更し、サムネイルのレイアウトを整えよう(図18)。さらにセクション名の「サマリーセクション」を「目次」と変えておく(図19)。
サマリーとスライド、2つのズーム機能を使い分け
スライドズームでは既存のスライドにサムネイルが配置されるので、あらかじめ目次用のスライドを用意(挿入)しておく必要がある(図20)。そうしたら、そのスライドにタイトルを入力し、「ズーム」ボタンから「スライドズーム」を選ぶ(図21)。
開く画面で新入社員用の目次に含めるスライドを指定すると(図22)、選択したスライドにサムネイルが配置される(図23)。サマリーズームとは違い、最初は重なって表示される。1つずつドラッグして配置し直そう。
全社員向けと新入社員向け2つのスライドショーを作る
図24の操作で「目的別スライドショー」画面を開いて「新規作成」ボタンを押したら(図25)、「スライドショーの名前」を「全社員」に変更し、使用するスライドを選択する(図26)。新入社員向けのスライドショーも同様の操作で作れる(図27〜図29)。あとは、プレゼンの対象者に合わせて「目的別スライドショー」から「全社員」もしくは「新入社員」を実行すればよい(図30)。
スライドショーの実行時は、ズーム機能で作った目次スライドの機能にも注目したい。目次スライドのサムネイルには当該スライドへのリンクが自動的に設定されている。サムネイルのクリックでジャンプできることを確認しよう(図31)。
最後の仕上げにスライド番号を付ける。スライドの右下などに連番があると、質疑応答の際に「○番の」と指定できて重宝する。表紙には付けず、2枚目以降に1から始まる連番を付けるとスマートだ(図32〜図37)。ただし、この設定を行うと、ズーム機能の設定画面でサムネイルのタイトルがずれてしまう(図38)。必ず最後に行おう。
COVID-19による市場および経済への影響は深刻化-日興アセットの見解
グローバル債券
ウイルスに関するニュースが市場を左右する状況が続き、投資家が世界経済にとって最悪の結果となる可能性を不安視するなか、「安全な避難先」へは強い需要の継続が見込まれる。このサイクルが打ち破られるには、おそらくいくつかの事象が始まる必要がある。1つ目はたぶん明白だが、中国以外での感染拡大に関するニュースがそれほど警戒を要さない内容となり、新規感染者数が世界的にピークを打てば、もちろん投資家を安堵させる材料となるだろう。2つ目は、米国および世界の第1四半期の経済指標において、大幅に下方修正され始めた予想を上回るケースが出てくることだ。ウイルスに対する不安から、投資家は今後発表される経済指標について最悪ケースを予想するようになっており、したがって経済が予想されたよりも持ちこたえていることが示唆されれば、やはり不安を落ち着かせるのに一役買うだろう。最後に、FRBの金融政策アクションが十分な決定打としてリスク資産市場の最終的な回復に必要なサポートと流動性を提供できると投資家が確信し始めれば、「安全な避難先」への需要は後退するものと思われる。
コモディティ
Covid-19の流行が中国で概ね封じ込められたと思った途端、それからの世界でのウイルス感染拡大スピードには誰もが不意を突かれ、市場はすぐに大混乱に陥った。状況は依然として非常に流動的だが、当社では、需給バランスの変化から原油に対する見方を弱気に変更した。
グローバル債券:2つの外因性ショックによって引き起こされた異例の危機
アンドレ・セベリノ/グローバル債券運用チームヘッド、スティーブ・ウィリアムズ/コア・マーケット・ヘッド・ポートフォリオ・マネジャー
システムを揺るがすCovid-19、原油価格ショック
市場が経験しているのが、システムへの2つの外因性ショック、つまり新型コロナウイルスと原油価格の展開によって引き起こされた異例の危機であることは明らかだ。投資家にとって難しいのは、この危機の原因が信用の不均衡といったような要因ではなく、むしろ、ウイルス感染者数がいつピークを打って減少し始めるかといった、非常に予想困難な事態の把握に努めなければならないという点である。例えば、イタリアやスペインから米国に至るまでの状況展開を推定しようとすると、考慮しなければならないであろう可能性はあらゆる範囲にわたる。今回の危機の結果として、多くの国の経済がテクニカル・リセッション(2四半期連続でのマイナス成長)に陥ると思われるが、当社のベストケース・シナリオでは、2四半期はウイルス流行が大きな悪影響を及ぼすものの、年後半には経済が急速に回復すると想定している。
日本株式:短期的にはボラティリティの高い相場が続くもバリュエーションは過去最低水準
小林 敏紀/リサーチ・アクティブ運用ポートフォリオ・マネジャー、高山 純一/インベストメント・ディレクター
PBRはアベノミクス以前の水準へ低下
2月末以降、Covid-19の世界的な感染拡大に端を発した相場の乱高下と市場全体の急落により、日本株式のバリュエーションは過去最低水準へと低下している。株価が純資産を割り込み、PBR(株価純資産倍率)は0.87倍と、2012年12月に安倍晋三氏が首相に選出されアベノミクスに乗り出す直前以来の低水準となっている。2013年1月以降のPBRの過去平均は1.23倍であり、足元の水準は大幅なディスカウントであるように見受けられる。過去10年の最低水準としては、世界金融危機の際の2008年10月に付けた0.83倍(その後2009年6月までに1,20倍に回復)や2011年3月の東日本大震災後に付けた0.91倍などが挙げられる。
市場の見通し
Covid-19については依然未知の部分が多く、今回の流行がどれくらい続くかを正確に予想するのは困難だ。しかし、専門家の多くの意見やSARS(重症急性呼吸器症候群)など過去の感染症流行の経験、そして3月中旬現在、中国で感染者増加率がすでにかなり鈍化してきているという事実を考慮すると、日本も4月か5月に封じ込めに向かう可能性はある。
アジア株式:今こそポジションの積み増しを始める好機
ロバート・マン/株式運用チームヘッド
アジア諸国は財政状況が良好、大規模な財政出動と一段の金融緩和が予想される
Covid-19の世界的流行に対する不安の広がりやリセッション(景気後退)懸念、原油価格の急落によって引き起こされた最近の金融市場の大暴落は、未曽有というほかない。新型の伝染病に対して不安感を持つのは無理もないが、人類が常にウイルスや感染症とともに生きてきたことは指摘しておきたい。多くの細菌感染症が命に関わる病気であったのはそれほど遠い昔の話ではないが、人類の生活は続いてきた。我々は、適応種として、不安が後退し正常な状態が回復するとすぐに新たな環境になじんできた。このことから、当社ではウイルスを原因とする世界金融の混乱が長期化するとは考えていない。
中国株式:中国におけるCovid-19の流行は最悪期を過ぎた可能性がある
トゥルーマン・ドゥ/シニア・ポートフォリオ・マネジャー
経済活動は向こう数ヵ月にわたって徐々に回復すると予想される
中国がCovid-19の流行を当社が当初考えていたよりも早くかつ効果的に封じ込める能力を示したことから、当社では直近、中国株式に対するスタンスを「ネガティブ」から「中立」へと変更した。ここ数週間は新規感染者数が減少してきており、中国はCovid-19の全国的な流行を回避できたように見受けられる。
アセアン株式:アグレッシブな対策は当面の急激な景気悪化を示唆するも、ウイルス封じ込め効果が期待される
ケネス・タン/シニア・ポートフォリオ・マネジャー
概要
相違点はあるものの、Covid-19の世界的流行は2003年のSARS流行時の経験が最も妥当な参考事例になると言える。2003年には、入国旅行者数を含め、ほとんどの主要経済指標が1、2四半期にわたって急落し、流行ピーク後の1、2四半期で通常の水準へと回復した。影響が及んだ国の経済成長への悪影響は1四半期のみにとどまった。当社では、今回のウイルス流行についても同様のパターンになるとの期待を持っているが、2つの疾患間に違いがあるのに加え、2020年は2003年に比べて中国とのつながりや中国経済の重要性の水準が相対的に高まっていることから、考慮して注視を続けていく。特に、2020年には前回よりも大幅にアグレッシブな対策が講じられたことから、短期的には景気悪化の度合いがより急激になるかもしれないものの、ウイルスの封じ込めにはより奏功すると期待される。しかし、中国国外で感染者数が急増しており、現在では、新型ウイルスの影響が長期化するリスクが高まっている。したがって、世界の経済成長への影響は拡大する可能性がある。米国やユーロ圏など経済規模が大きい地域において新型ウイルスの流行が長引く場合には、その可能性が特に高まるだろう。また、影響が及ぶ期間についても2020年第2四半期、さらには第3四半期まで長引く可能性がある。
見通しおよび投資姿勢
当面は、新型コロナウイルスによる世界経済成長見通しへの影響をめぐる懸念に引き続き注目が集まると考えている。世界の景気見通しや企業収益は下方修正されると予想する。アセアン市場も下方修正を免れないだろうが、そうした経済環境を乗り切れる優位性のある市場やセクターも存在すると見ている。より長期的には、消費や投資といった新しい成長分野をはじめとして、アセアン諸国の成長見通しについて相対的にポジティブな見方を維持している。また、アセアン諸国のなかでは、バリュエーションや配当利回り(4%強)が相対的に魅力的であるほか、足元の景気状況に置かれていても企業収益がより底堅く、よりディフェンシブさを発揮しているシンガポール株式について、相対的に強気な見方をしている。先日発表された予算案では、財政赤字が109億シンガポールドル(対GDP比2.1%)にのぼる見通しが示されるなど、強力な財政緩和が盛り込まれており、新型ウイルスが現地企業やシンガポール全体に及ぼす経済的打撃の緩和に効果を発揮する可能性があると見ている。シンガポールドルは、同国経済が底堅く推移していることから、安定的に推移すると考えている。
アジアの債券とクレジット:市場のボラティリティが極度に高まり、信用スプレッドは大幅拡大
アジア債券チーム
概要
新型コロナウイルス(Covid-19)はパンデミック(世界的流行)化している。韓国や中国での流行は落ち着いた感があるものの、今では欧州が新たな感染拡大の中心地となっており、米国の新規感染者数も急増を避けられない模様である。さらにOPEC(石油輸出機構)加盟国と非加盟の主要産油国からなるOPECプラスによる減産協議が決裂したことを受けて、サウジアラビアや他の中東の産油国が原油価格を引き下げるために増産に動くなか、原油価格は急落した。
アジアのクレジット市場
当面のアジアのクレジット市場は、他の資産クラスと同様にボラティリティの高い状況が続く見通しである。欧州や米国での新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、中国や韓国で感染拡大の第2波が生じない状況で、かつ、原油価格がより低い水準で安定化するか、OPECプラスによる交渉が再開される状況となるまで、信用スプレッドの拡大が続く可能性がある。
シンガポールのクレジット市場
市場のストレスがより幅広い資産に影響を及ぼし始めている。最初に売られ始めたのは最も投機色の強い金融商品で、売りの勢いが加速し続けるなか、こうした市場のストレスはシンガポール国債(SGS)を含めより安全とされる資産クラスへと広がった。足元では、「質への逃避」の緊急性が大幅に高まっており、その逃避先となっているのが流動性と安全性が最も高いごく一部の資産、つまり短期の米国債と米ドルである。
中国の金利および為替
中国の金利および為替市場は相対的に落ち着いている。中国は、新型コロナウイルスの流行当初において感染拡大の中心地となっていたが、現在では流行曲線の次のフェーズに入っており、国内での感染動向よりも海外からの感染者の入国の方がより懸念される状況にある様子だ。
アジアの金利および為替
当社では、新型コロナウイルスがアジアのファンダメンタルズに及ぼしている影響を考慮し、シンガポールや韓国など輸出主導型で経済の対外開放度が高い国や、タイなど観光業への依存度が高い国が最も大きな打撃を受けると予想している。また、現在のところ中国を除くと感染者数がアジアで最も多い韓国では、国内の経済活動鈍化による経済成長への打撃も深刻化すると見られる。対照的に、インドネシアやフィリピンは経済に占める内需の割合が相対的に高く、報告されている感染者数も比較的少ないことから、経済が若干ながらより底堅く推移するかもしれない。
ニュージーランド債券および株式:ニュージーランド準備銀行は政策金利を過去最低水準へ引き下げ
ファーガス・マクドナルド/ニュージーランド債券・通貨運用チームヘッド、スチュアート・ウイリアムズ/ニュージーランド株式運用チームヘッド
ニュージーランド準備銀行は利下げを実施するとともに銀行に対する新資本規制の適用を延期
3月16日、ニュージーランドでは海外からのすべての入国者に対し強制的自主隔離措置が導入されたが、これに続き、ニュージーランド準備銀行は臨時声明で政策金利を0.75%引き下げ過去最低の0.25%とし、また、向こう12ヵ月にわたってその水準に据え置くと述べた。加えて、導入が予定されていた銀行に対する新資本規制が延期され、これによって同国の銀行の貸出枠に470億ニュージーランドドルの余裕が追加された。その後、同国政府は、新型コロナウイルスによる経済への副次的影響を軽減すべく、121億ニュージーランドドル(GDPの約4%に相当)の景気支援策を発表した。
ユキマツの「長期投資のタイミング」
「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ
利確して一息つきたい ~米国市場の概況~
先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
ごく簡単な米国市場の概観
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
5.13は「4024」で前週比「-2.6%」。
5月月間では今のところ「-2.6%」。
※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り
5.13は「 2.93 % 」。前週は「3.14%」で先週は大きく低下。
<ここ5年>
※出所:S&P 500 VIXインデックス
5.13は「 28.87 」。前週の「30.19」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
不安?
ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年4月の月末>
⑤ 5% 以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
ふつう~やや悲観
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
5.13時点の推計値は「 3.99 」(前週は「4.09」)倍で前週より低下。
長期の中央値「2.79」を43%ほど上回っており、株価水準は
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月: 4.73 倍(コロナ後)
シラーPER
複数のテクニカル指標が示唆していた相場の調整局面 ※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.4
コメント